本郷駅前校便り

教室長より

褒めること(承認すること)、叱ることについて(コーチングの手法から)

お子様への指導、なかなか難しいとお感じになっている保護者の皆様も多いのではないでしょうか。
現在自分が生徒様への言葉掛けで心掛けていることは、カウンセリングやコーチングの手法が基本になっています。
少し紹介させていただきます。

コーチングでは、「承認」を重視します。「承認」は単純に褒めるということだけでなく、プラスの声掛け全般を意味します。

人に対する心理的・身体的なプラスの働きかけを、カウンセリングの用語で「ストローク」といいます。例えば「よくやった!」などと声を掛けることは、プラスのストロークに相当します。人は周りからプラスのストロークをもらうと自分の存在が歓迎されていると感じ、自己肯定感を感じることができます。承認もプラスのストロークの一つ。日頃から承認する習慣を身に付けることで、お子様を勇気づける言葉掛けができるようになります。

実践しやすい承認の方法には、次の4つが挙げられます。                   

①「事実を伝える」こと。
「今日は、昨日より30分長く勉強できたんだね」というように、実際にお子様の頑張りを事実として伝えます。シンプルでも口に出して伝えることで、お子様はは「ちゃんと見てくれているんだ」と実感できます。

②「I(アイ)メッセージで伝える」こと。
「2次関数の勉強、一生懸命にやっていたと感じたよ」など、主語を「I(私)」にして伝えます。「積極的に勉強するね」などと言うと、自分は消極的だと思っているお子様はは違和感を覚えるかもしれません。しかし、自分の感想として述べることで、お子様は抵抗なく受け入れることができるのです。

③「質問で承認する」方法。
「こんな難しい問題をどうやって解いたの?」などと、驚きや尊敬の気持ちを質問で表現します。単なるプラス評価だと、自己評価とのギャップを感じて「いやいや自分なんて……」と謙遜したり、「おだてようとしているだけなのでは」と受け入れないお子様でも、素直に受け止めることができます。また、質問に答えるなかで成果を上げたプロセスを振り返り、効果的だったポイントの再確認もできて一石二鳥です。

④「一緒に喜ぶ」こと。
「おめでとう!」「よかったね!」など、表情や声に気持ちを込めて伝えてください。それによってお子様に「自分の味方だ」と感じさせることができます。

これらの4つを状況に応じて使い分ければ、承認の効果はより大きくなるでしょう。

叱ることについて

叱るときはI(アイ)メッセージとサンドイッチ話法で

お子様を叱るとき、お子様が受け止めやすくなる方法が、2つあります。

1つは、承認と同様に、「I(アイ)メッセージで伝える」方法です。もしお子様のテスト結果が良くなかった場合、「私にはテスト勉強に手を抜いているように感じられたな」と言うのが、叱るときのI(アイ)メッセージ。加えて「あなたならもっとできると思う」と言えば、同時に相手は承認されたと感じることでしょう。

もう1つが、「サンドイッチ話法」です。褒める→叱る→褒めるという順で話をして、叱る部分を褒める会話ではさみます。例えば、まず「いつも勉強頑張っているね。偉いと思うよ」などお子様の努力を評価するところから始め、それに続いて前述のようにI(アイ)メッセージで改善点を伝えます。そして最後は「これからも頑張って勉強を続けてほしい」というように期待を伝えて、話を終えます。

また、この2つに加え、日頃からお子様を承認しておくことが何より大切です。自分に期待してくれていると感じる保護者や家族の声であれば、叱られても素直に受け入れることができるでしょう。

お子様は保護者から承認されることで、自己肯定感を高め、意欲をもってよりより自分を形成するためのエネルギーが高まります。叱るときにも工夫をすることで、お子様は承認されていると感じるでしょう。

すぐに全てができるわけではありませんが、4つを意識してお子様と関わることで、少しずつできるようになると思います。

私自身、カウンセリングやコーチングの研修・講習を受ける前と後では、担任していた生徒だけでなく、自分の子供への言葉掛け、関わりが変わっていきました。少しずつ実践してみませんか・・・?